フェーダーでフィルターコントロール
フェーダーオブジェクトを使ってEQをコントロールし、フィルターの効果を表現するサンプルです。
単にEQをコントロールするだけでなく、今回は利便性を考慮し、「モード切り替え」というオブジェクトをクリックするごとに「ローパスフィルター」「ハイパスフィルター」「バンドパスフィルター」の3種類を切り替えることができるように作っています。
【サンプル】
バンドパス→ローパス→ハイパスの順番でフェーダーを上下させています。
オブジェクト詳細
各オブジェクトの詳細を見ていきます。
なお、赤いケーブルがバンドパス、青いケーブルがローパス、緑のケーブルがローパスのための流れです。
Filtered Audio
オーディオトラックのEQを直接操作しても良いのですが、今回はバスを使用する例を紹介します。
フィルターをかけたいオーディオをこのバスに送ることで、フィルター効果を作用させます。
オーディオオブジェクトを作成し、チャンネルを「Bus 64」にしています。
HINT: 番号の小さいBusは、ミキシングなど他の用途で使うケースが多いため、後ろの番号を割り当てています。
チャンネルEQプラグインを挿入し、ローカットとハイカットのみを有効にしておきます。
スロープの値を最大値にしてカットする効果を強くしていますが、このへんはお好みで調整してみてください。
フィルターフェーダー
フェーダーオブジェクトです。これでEQの周波数を変化させます。
パラメーターはこちら。
今回はスタイルを「縦1」にしていますが、こちらは横でもノブでも良いです。
ポイントは「Output」セクションで、OutputはFader、チャンネルは2に指定しています。
OutputでFaderを指定することでチャンネルストリップのフェーダーを操作できるようになり、チャンネルでその対象を指定します。
1の場合はチャンネルストリップ自身に、2以降がインサートスロットの順にプラグインに送信されます。
今回はインサートスロットの一番上にEQプラグインを割り当てるので、指定するチャンネルは2となります。
値(-1-)は「1」となっていますが、これはEQのローカット周波数を操作するための番号です。
プラグインを「コントロール」表示にしたときに表示されるパラメータ順で0から割り当てられている、と思います。
モード切り替え
テキストタイプのケーブルスイッチャーで、「バンドパス」「ハイパス」「ローパス」を切り替えるために使用します。
ケーブルスイッチャーオブジェクトを作成してから、「スタイル」を「テキスト」に変更しています。
切り替える対象が3つのため、「範囲」を0〜2にしておきます。
ダブルクリックして、各テキストを入力しておきます。
値を半分に
バンドパスのために使用する、トランスフォーマーオブジェクトで、入力される値を半分の値に変換しています。
これは、ハイカットとローカットのEQを同時に操作するため、フェーダーの最大値の状態でそれぞれのEQが最大に作用するのではなく、半分だけ作用されるようにするためです。このようにハイカットとローカットを半分づつ作用させることによりバンドパスを表現しています。
条件で「フェーダー」のみを対象にし(※今回はフェーダー情報のみ入力されるので、この指定は無くても良いですけど。)、値(データバイト2)で0.5を掛けることで、入力される値を半分にします。
ローカットをハイカットに変換
操作対象のEQを変更するためのトランスフォーマーオブジェクトです。
フィルターフェーダーが出力する値は、EQのローカット周波数を操作する情報となっているため、バンドパスとして作用させるためにはハイカット周波数を操作する情報も必要となってきます。
そのため、ローカットの情報を基に変換し、ハイカットを操作する情報に変換しています。
操作対象を変換するだけでなく、値の変換も行います。
フェーダーを上げる=ローカット周波数が上がったときに、ハイカット周波数は下げたいのですから、値を反転させればよいということになります。
条件で「フィルターフェーダー」が出力する値を指定し、操作でデータバイトを29(=ハイカット周波数を操作する番号)、データバイト2を反転を指定します。下のグラフのように値が反転されて出力されます。
値反転
青いケーブルのこのオブジェクトはローパスのためのもので、実は先述の「ローカットをハイカットに変換」と同じ設定値のトランスフォーマーオブジェクトです。
ローカットをクリア
バンドパスを操作中にローパスに切り替えた場合など、ローカットEQが有効になっている状態でハイカットEQを操作した場合に、いわゆるローパスフィルタとしての効果が微妙となってしまいますので、ローパス動作時にはローカットEQ周波数を0にするという操作を行います。
操作で対象をローカット周波数を指定し、値も固定で「0」を指定しています。
また、操作される前の情報も同時に出力されてほしいため、モードを「一致したイベントをコピーして操作を実行」にしています。
HINT: データバイト1を「1」ではなく「0」にしてローカットそのものをOFFにする、という方法もあります。この場合、バンドパスやハイパス動作時にはローカットを有効にするよう、トランスフォーマーを追加する必要があります。
ハイカットをクリア
「ローカットをクリア」とは逆に、ハイカット周波数を最大値にするためのトランスフォーマーです。
ウインドウの表示方法を変える
「フレームなしのフローティングウインドウ」にしてアレンジウインドウ側に表示させておけば、便利に操作できると思います。
エンバイロメントウインドウを開き、「ウインドウをリンク」を解除、「表示」から「ケーブル/配置を保護」をチェックし、「ケーブル」のチェックを外します。
HINT:「ケーブル/配置を保護」をチェックすることで、オブジェクトの移動やリサイズができなくなりますので、操作中に誤って位置をずらしてしまうといったことがなくなりますのでオススメです。
この状態で、「フレームなしのフローティングウインドウ」にチェックを入れます。
フィルターフェーダーとモード切り替えオブジェクトのみが表示されるくらいにリサイズしておきます。
フィルター操作されるトラックを選択
フィルター操作したいトラックの出力を、最初に作成したFiltered Audioオブジェクト(Bus 64)に指定します。
フェーダー操作を記録する
アレンジウインドウにトラックを配置し、このフェーダー操作を記録・再生できるようにします。
「トラック>新規」から新規トラックを作成します。
このトラック名の上でcontrol+クリック(または右クリック)し、「トラックを割り当て直す」から「フィルターフェーダー」を選択します。
HINT: エンバイロメントウインドウから「フィルターフェーダー」オブジェクトをアレンジウインドウにドラッグ&ドロップしてもトラックを作成することができます。
このトラックにレコーディングすることでフェーダー操作が記録され、再生時にはフィルターフェーダーも動きます。
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