後発優先！オーディオ素材で手軽にフィルインを作る

Logic Proには多数のApple Loops素材が付属しています。
これらを使えだけで、誰でも簡単に作曲ができるという素晴らしいものですが、でも、単純にApple Loopsオーディオ素材を鳴らしているだけではイマイチ面白くありません。

ちょっとリズムパターンを変えたい場合には、オーディオ素材を直接編集するか、Logic Proに付属している高性能サンプラーEXS24用のサンプラーファイルに変換して編集したりするのが一般的です。

ですが、それが面倒だったり、サンプラーファイルに変換するほどの手間はかけなくてもいいかな、という場合に使える小ネタです。

 オーディオトラックの特性「後発優先」を利用

Logic Proのオーディオトラックは、同一のトラック（またはオーディオチャンネル）で複数のリージョンが重なっている場合、実際に再生されるのは再生位置が後ろにあるリージョンとなります。

例えば上図の場合、グリーンのBリージョンは、その後続のCリージョンと重なっています。
この場合、Bリージョンが再生されるのはCリージョンの開始までの間となります。
Bリージョンの本来の長さ分は再生されない、ということですね。

この「再生されるのは後発優先」を利用し、リージョンの上に（後発となる）リージョンを置いて、再生されるパターンを変えてみようというのが今回の主旨です。

なお、基本的にどのようなオーディオ素材でもこの方法は利用できますが、最も利用価値があって分かりやすいのは「ドラムループ」だと思いますので、以下の例でもドラムループを対象に編集を行います。

欲しいサウンドを切り分ける

今回の例では、下のようなオーディオ素材を使います。キックとスネアを基本としたシンプルなループです。

ドラムループの構成音にも依りますが、多くの場合、キックとスネアの音を用意できればある程度のパターン制作に融通が効きますので、今回もキックとスネアのみを個別のリージョンにしておきます。
（キック、スネアのみ、とは言っても、それぞれに音にハイハット系の音など様々音がかぶっていますが。）

アレンジウインドウでハサミツールを使い、キックとスネアの箇所を個別のリージョンにします。
（図ではピンク色の箇所がキック、ブルーの箇所がスネア）

オーディオリージョンを配置

先の手順で切り分けたキックとスネアのリージョンを任意の位置に配置することで、様々なバリエーションのリズムパターンを作ることができます。
例として4小節で１つのリズムパターンとなっているオーディオ素材に対し、下図のようにキックやスネアリージョンを追加してみました。（図A）
なお、この例では、作りたいリズムパターンに応じてキックやスネアのリージョンの長さを変えています。

このように同一トラック上にリージョンを配置しても良いのですが、これではリズムパターンをコピーしたい場合など、リージョンが細かく配置されているとその後の編集が面倒になる場合があります。

そこで、ある程度まとまったリージョン郡を「フォルダ」にしておけば、それ以降の編集がラクになります。

 

トラックをフォルダートラックとしてまとめる

上図の4小節リズムパターンを構成するすべてのリージョンを選択して、「リージョン＞フォルダ＞フォルダをパック」コマンドを実行します。

すると、選択していたリージョンがフォルダとしてまとまり、１つのフォルダになります。
このフォルダは、リージョンと同じように編集できますので、ハサミツールで分割したり、ループにしたりすることができます。

フォルダ化されたリージョンを編集するには、フォルダをダブルクリックします。
すると、フォルダ化する前のように、多数のリージョンに分かれた状態で表示されます。

 

トラックは別だけどチャンネルは一緒！？

リージョン郡をフォルダ化したメリットとして、基本となるアレンジウインドウのトラックを増やすこと無く個別のトラックを増やせるという点が挙げられます。

これまでの例では、１つのトラック上で複数のリージョンを配置していましたが、これはトラックを分けると、もっと見やすくなります。
先ほどの図Aを、追加したリージョンのトラックを分けると、下図のようになります。

このようにトラックを分けた場合でも、それぞれのトラックの出力先（この場合、オーディオチャンネル）は同一ですから、「後発優先」の原則が生きているため、図Aの状態での演奏と全く同じになります。

トラックの複製は「トラック＞同じチャンネルストリップ／音源を使って新規作成」コマンドを使うと簡単です。