破壊クオンタイズ+Q-Flamでアルペジオとかグリッサンド
鍵盤を弾ける人は弾いたほうが早いのですが、打ち込みでアルペジオやグリッサンドなど、複数のノートをタイミングをずらしながら入力するのはちょっと面倒ですよね。
例えば下記譜例の2拍目にある2分音符のようなもの。(※緑色の上向きうねうねがアルペジオ記号です。)
あるいは、ハープのグリッサンドのように、広範囲にわたってノート間のタイミングをずらしながら上昇・下降するようなものなど。
そういったノートの入力に「Q-Flam」パラメータと「破壊クオンタイズ」を使ってみようという例です。
まず、破壊クオンタイズとは何か?
通常 Logic Proでは、クオンタイズは非破壊で適用されます。それによって、いつでも自由にクオンタイズパラメータを変えることができます。表示・演奏上はクオンタイズされていますが、実際のデータはクオンタイズされず、入力した状態のまま残っている、ということですね。
破壊クオンタイズとは、その逆で、実際のデータまでクオンタイズしてしまうもので、これは一度確定させると(Undo以外では)もとに戻すことができません。
HINT:なお、この作例では、必ずしも破壊クオンタイズをする必要はありません。場合によっては破壊せずに通常のクオンタイズでも適用可能です。ただ、非破壊では複数箇所でパラメータを変えて使いたい場合などに何かと融通が効かないので、今回は破壊する方法で紹介します。
今回の作例の元となるデータは以下のものです。1小節間入力されているものの中の2拍目の音符に対し、アルペジオを表現してみます。
リージョンのクオンタイズ設定をオフに
まず、破壊クオンタイズを適用させるリージョンが、クオンタイズ・オフの状態であることを確認してください。
HINT:※オフ以外だと、リージョン内すべてのノートにクオンタイズが適用されてしまうため
オフ以外のときは、アルペジオを適用させるノート以外のクオンタイズを「破壊クオンタイズ」で破壊編集してください。
リージョンを選択して、「MIDI>リージョンパラメータ>クオンタイズに破壊編集を適用」です。
アレンジウインドウと任意のエディタウインドウを開きます
Q-Flamを調整するためのインスペクタはアレンジウインドウにあり、また対象ノートを選択するのは各エディタウインドウのため、それぞれを同時に表示させておきます。
エディタウインドウはノート選択のために使用しますので、ピアノロールでもイベントリストでもスコアウインドウでもどれでもよいのですが、今回は視覚的にノートタイミングがずれているのがわかりやすいためピアノロールを使用します。
詳細クオンタイズを開きます
リージョンを選択し、インスペクタにある「詳細クオンタイズ」をクリックして開きます。
Q-Flamパラメータを調整します
このQ-Flamパラメータで、各ノートのズレ具合を指定します。
どのくらいずらせば良いのかは、BPMによっても変わりますし、かなりケース・バイ・ケースです。
今回は、まず+70を指定してみます。
HINT: プラスの値でノートが低い方から、マイナスの値でノートの高い方からずれるようになります
ノートを選択してクオンタイズ
クオンタイズ値を、オフ以外の値に変更します。
HINT:※今回対象とするノートは2拍目にあるので、「1/4-音符」より長いクオンタイズ値ではノートの位置が変わってしまいます。
1/4、1/8、1/16くらいが無難です。
このQ-Flamによるアルペジオを適用させるノートを選択し、クオンタイズボタンをクリックします。
すると、選択した各ノートが、70ticksずつずれた状態になります。
今回はもうちょっとバラけたほうが好みなので、Q-Flamパラメータを80に変更してみます。
Q-Flamを変更すると、バラけたクオンタイズは一旦解除されますので、ここでまたクオンタイズボタンをクリックし、クオンタイズを適用させます。
またプレイバックして確認し、これでOKということにしました。
破壊編集を適用
このクオンタイズ設定で確定させるため、「クオンタイズに破壊編集を適用」コマンドを実行します。
これでアルペジオが作成されました。Q-Flamパラメータは0に戻ります。
ノート長の調整
このままではノートの長さもずれて、次のノートにまでかかってしまっているので、長さを揃えながら調整します。
ノートが選択されたままの状態で、shiftキーを押しながらノート長を変更します。
HINT:※「キーとマウス操作によるノート情報変更のあれこれ」参照
ギターのストロークにも
これを応用し、プラス方向にずらす設定と、マイナス方向にずらす設定を組み合わせると、ギターのアップストローク、ダウンストロークの表現ができます。
前半4小節はきっちりクオンタイズをかけたもの、後半4小節はQ-Flamを変更しアップ・ダウンストロークを表現したもの。
わかりやすくするため、ちょっと大げさにバラしています。
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